エリック・ビューエル座談会 in Buell West TOKYO
Posted : 1999年 10月 22日
1999年10月21日、念願のエリック・ビューエル会長に逢うことができた! この日、Buell WEST TOKYOにエリックおじさんが来店、Buellオーナーを対象に座談会が開かれると云う。
しかも、参加は自由!と聞けば駆けつけないわけにはいかない。
Buellerには紹介の必要もないが、エリックおじさんはBuell
Motorcyclesの創設者にして現会長。そしてその立ち上げから現在に至るまでデザイナーであり、最高技術開発責任者でもある。 しかし、彼を語るには、どんな肩書きよりも、まず、情熱的なライダーであると云わなければならない。
このミーティングはエリックおじさんがモーターショウ視察後の、午後7:00から約3時間以上に渡って行われた。
以下の記事は、約20人のBuellerとその予備軍、エリックおじさんとアジア販売担当のおいちゃん、HDJから2名のスタッフ、RIDERS CLUB誌からボスの根本健氏と山下氏、カメラマンの方、Buell
WEST TOKYOのスタッフらを交えて熱く語られたミーティング内容の一部であり、各コメントは要約であることをお断りしておく。
この日はたっぷり時間をとってもらえるとのことで、まずは全員の自己紹介から。ミステリーツーリングでM2をゲットした女性や、オイラを含むBMJのメンバー数人、旦那の付き添い、スポーツスターやローライダー乗り、国産車オーナーながらBueller予備軍な人々など多種多彩。
いよいよ本題のディスカッションではいろんな話題が飛び出した。その一部を順不同で紹介しよう。
- Q:
- モーターショーでYAMAHAの「例のもの」をご覧になった感想は?(この時のモーターショーでYAMAHAが参考出品したMT-01の多くのディテールがBuellに対抗しているように見えると言われていた)
- Erik:
- キュートだね(笑)
- Q:
- S2→S1という発売順になったのはなぜですか?
- Erik:
- 企業戦略上の問題。そのころBuellは少しでもメジャーになる必要があったんだ。HD社と良い関係を持つことができて、HDディーラーで販売されることになったんだけど、なにしろ誰も知らない訳でしょ。そこで、まず、HDユーザーにインパクトを与えることができるモデルであることが先決だった。 HDのツーリングモデルとS1の間を橋渡しするS2で、注目されることが大事だったんだ。
- Q:
- なぜXL1200のエンジンを使うことに決めたんですか?
- Erik:
- それはBuellの開発コンセプトに大きく関わる。とにかく僕は、「楽しいバイク」を創りたかった。それじゃぁ「fun=楽しい」って? スペックを突き詰めたバイクととんがって向かい合うことが楽しいと感じられるのは極一部のライダーだと思う。大抵のライダーは、コントロールできたときに「楽しい」と感じるものだ。いろいろ検討してみたんだ。例えば、Ducatiは良いエンジンなんだけど、シャーシ設計がとんがりすぎてて気が抜けない。 反対にYAMAHAは良いシャーシなんだけど、エンジンフィールや出力特性を活かした走りをするとなると手に負えない。どちらもライダーを危険な領域に追い込んでしまう。いつでも乗っているだけで楽しいバイク。そんな理想に最適なのがXLのエンジンだったんだ。アイドリングしてるだけでワクワクするし、ハイチューンに耐えうる頑丈さがあり、伝統的な信頼性もある。もちろん僕がXLエンジンに造詣が深かったことも大きな理由のひとつだけど。反対に訊きたいんだけど、Buellに乗ってみてどう思った?「fun」?
- ※:
- なんじゃこりゃ(笑)
- 一同:
- (爆笑)
- ※:
- メットの中で笑ってるよね。ニヤニヤ。 アクセル開けると「おお!すっげー」って。
- 根本:
- エリックの話とは、ある意味で逆の企画をやっちゃったね。 ここんとこ…(RIDERSCLUB誌 307号のX1で膝スリ参照)
- Erik:
- ワンダフル!(RIDERS CLUB誌を見せられてご機嫌)
- ※:
- エリックさんもこんなことしてるの?
- 根本:
- (通訳中にオイラに向かって耳打ち)やってるやってる。危ないオヤジなんだから!
- Erik:
- (笑)肘とか擦ったりね。背中擦っちゃダメだよ、「fun」じゃない(笑)
- 根本:
- エリックとはもう長い付き合いで、家に招待されては一緒に走ったりするんだけど、初めての道とか迷うじゃない。停まって地図見りゃいいのになんでライダーってのはすべからく停まんないのかね(笑)走り出したら親の敵のように。そんでちょっとスピード落とすじゃない。そしたらこのおっさんがスパーンとオレの脇抜いてくの(笑)ぺかーってコーナー突っ込んでく。ホントなんにも考えてないんだから。しかもタンデムだったりするんだぜ。ライダーなんだよなぁ。バイクメーカー経営者とかコンストラクターとか以前に。
- Q:
- (笑)ペットネームの由来は?
- Erik:
- ギリシャ神話にペガサスが羽ばたいて、地上に雨と雷をもたらしたって云うのがあって、「ライトニング」と「サンダーボルト」。雨と雷の次は、きっと雨雲が拡がって、風が唸って…「サイクロン」が生まれるんじゃないかって。
- Q:
- Buell X1って、Bell X1との洒落じゃないかって睨んでるんですが?
- Erik:
- (笑)S1の後継機があまりにも違った完成度の物になったので、名前を変える必要があったんだ。S2は使っちゃったし。で、何か良い名前がないかと思って、参考にいろいろ本を開いてたら「X1」ってのがあって、「あ、これだ!」って。お察しの通り、チャック・イェーガーが音速トライした名機の名前でもある。
- Q:
- どうしてトレードマークがペガサスなんですか?
- Erik:
- それには少し長い物語があって、子供の頃お気に入りの車があって、それが、「ペガソ」って名前だったんだ。ずっと大好きだった。大人になってあるとき家系を調べてみると、我が家はイギリスの由緒ある騎士の家系でなんとその紋章がペガサスだったんだ。驚いた。縁があるんだ。それ以来、ペガサスのマークが入った自分のモーターサイクルの会社を創るのが夢だったんだ
- Go-1:
- エリックの写真にはS3と一緒のところが多いですが、ご自分の愛車は?
- Erik:
- 仕事柄、沢山の書類を持って出勤しなくちゃならないので、ケースにそれらを放り込んでしまえるS3は丁度都合がいいんだ。それに通勤が楽しい。でももちろんプライベートでは他のモデルにも乗るよ。
- Go-1:
- 僕は通勤にもツーリングにも、ちょっと買い物に行くのにもS3なんですが、先日BMJの仲間とツーリングに行って、ワインディングでパニアをガッツンガッツンいわせながらS1についていったんですよ。エリックはS3でどんな走りをしてるんですか?
- Erik:
- すごい(笑)それ、限界だよ。僕も君と同じで、ただ通勤に楽だからS3に乗る訳じゃない。君が云ったようにS3はオールラウンドなバイクなんだ。ツイスティーロードでは最高出力なんて関係ないんだよ。荷物を積んだままスポーティーに走れるところがS3のキャラクターなんだ。
- Q:
- 奥様はバイクに乗られるのですか?
- Erik:
- 彼女もバイクが大好きで、ある日SUZUKIの250ccに乗せてみたんだ。そうしたら、ものすごい勢いでコーナーへ侵入してしまって、大転倒!どうやら僕のタンデムシートに乗っているときのスピード感が染み込んでしまっていたらしい(笑)以来タンデムシート専門に逆戻り。でも、そんな彼女にも「fun」なバイクが必要だと思うんだ。彼女がコーナリングを堪能できるバイクを造っているところだよ。
- Q:
- それって、噂のシングル!?(当時未発表だったBlast!)
- Erik:
- (にやりと笑って、黙ってうなずく)
- 一同:
- おぉ~!
- Q:
- それは奥様に捧げるバイクってことですか?
- Erik:
- 彼女のようにモーターサイクルの「fun」の入り口に立っている人にも楽しめるバイクになると思う。もうすぐ発表できるはずだよ。
- Q:
- ‘00モデルのフロントローターが羨ましいんですが、‘99モデルまでのユーザーに特別価格で提供!なんて予定はないんでしょうか?
- HDJ:
- それはHDJの管轄です。残念ながら、この場でご返事できるものではないのですが、今回の大がかりなリコールを見ていただいても分かるとおり、常に最善のバイクをお客様が楽しんでいただけるように対応してきているつもりです。例えば、インジェクションモデルのECUのヴァージョンは‘99から‘00で02から16まで進んでいます。これを、‘99モデルのお客様には正規販売店にて無料で書き換えさせていただく予定です。
- Go-1:
- リアサスがWPからSHOWAになって、デザインも大幅に変わりましたね僕を含めてオーナーの多くが、エンジン下にありながら強烈に存在をアピールする白いスプリングに愛着があるんですが、SHOWAを採用した理由を教えて下さい。また、デザイナーとしてのエリック個人の意見もお聞かせ下さい。
- Erik:
- スプリングのペイントを入れちゃえ!(笑)
- Go-1:
- (笑)(オレと同じこといってる)
- Erik:
- そもそもなぜエンジン下にプルタイプのサスを配置したかというと、ショートホイールベースのメリットがいかに大きいか、ということ。エンジン下に配置すると、ピッタリ空間が埋まる。なおかつマスの集中にも大きく貢献する。リンク式のプッシュタイプではシンプルじゃない。シンプルに造りたかったんだ。WPはビッグネームだけど、既存のサスをプルタイプに転用して用意した。それに対して、SHOWAはBuell専用に最初からプルタイプを設計してくれた。そしてその出来映えは何よりもすばらしかったんだ。スプリングをカバーに内蔵するデザインもサスの配置場所を考慮して、汚れや傷によって性能を低下させないための物だと説明されて僕もそれを受け入れた。個人的にはスプリングが好きだよ。もし同じ性能で、スプリングが見えている物が造れていたならそっちを採用したかもしれない(笑)
- 根本:
- 弁護する訳じゃないけど、SHOWAの担当者、泣いてたよ。他のメーカーとは虐められ方が違うって(笑)普通はコストダウンで虐められるけど、Buellには性能でさんざん虐められたって。頑固なんだ(エリックを指して)このオヤジが。
- Erik:
- (笑)実際SHOWAの仕事はすばらしかったよ。
- Q:
- NISSINだSHOWAだと日本製のパーツへ変更される点が目立ってくると外車に乗ってる気が薄れるんですが…(笑)
- Erik:
- (とても真剣な顔で)これは強調しておきたいんだけど、機能部品に関しては各パーツメーカーのレディーメイドのパーツをそのまま採用しているところは全くないんだ。全部Buell専用設計だよ。もちろん、NISSINも。一つの例としておもしろい話を聞かせるよ。 Buellのホイールデザインは、マルケジーニ製の物にそっくりだろ?もともと僕とマルケジーニ氏とは古い友達で、Buellにも当然の如くマルケジーニ製が採用される予定だったんだ。 ところが、彼の工場の生産能力の問題で、うまくいかなくなった。それでも彼は、彼の設計したホイールをオーストラリアの別の会社の工場で生産することを快く許可してくれたんだ。
- Q:
- レーシングマシンを生産する予定は?ルシファーズハマー復活!とか…(ルシファーズハマーという名前に、エリックは馴染みがない、という表情だった)
- Erik:
- 操る楽しみの終着がレースフィールドにあるとは思わない。全く反対のアプローチだ。レースフィールドからストリートへではなく、ストリートからレースフィールドへ持ち込んでも楽しめるバイクがいいんだ。「楽しめる」ことが第一。
実際、超ビキニカウルのBuellがフルカウルのDucatiを押さえて勝ってしまうんだから。 見てて嬉しくなるだろ?エキサイティングだと思わない?僕もレースの経験があるから空力がいかに重要かってことは身に浸みてる。 「Defferent in every sence」でありたいんだ。 - 根本:
- うちの山下みたいに大型とって最初に乗ったのがBuell。それが取り憑かれたみたいに今ではイベントレースにはまってる。まともに考えたら無茶やってるなー(笑)だけどそんな魅力がBuellにはあるよね。乗りこなしたい欲求が。その行き先がイベントレースというのは健全じゃないかな。
- Erik:
- 反対に僕からみなさんに質問。 友達や知り合いにBuellを勧めたことは?
- 一同:
- ある!
- Erik:
- そのときの反応は?!
- *:
- やっぱり「なんだこりゃ!」
- 一同:
- (爆笑)
- *:
- でも、顔が笑ってる。一様に。
- *:
- そうそう。カルチャーショックなんだよ。
- *:
- でもたまに乗り方が全く分からないって人もいる。
- *:
- 第一印象で乗り方云々じゃなくって、アクセル開けたとたんに笑うよ普通。
- Go-1:
- 僕の友人にZZR乗りがいて、彼がzz-rを選んだのはオールラウンダーだと思ったから。実際そうなんだけど、S3を貸してあげると、黙り込んじゃった。 とっても興奮した顔して、目と口元は笑ってるの。「おもしろい」「すごい」って。ロングツーリング、ハイウェイ、タバコ屋までのどれもフツーに乗れるのがZZRのオールラウンダーさ。 だけどS3はロングツーリング、ハイウェイ、タバコ屋までに加えて、八百屋にもクローズドコースにも持っていきたい。しかもどこを走ってもアイドリングから全開まで間違いなく楽しい。オールラウンダーとして位置づけるポイントが違う。
- Erik:
- そのとおり。S3はグランドツアラーじゃなくって、オールラウンダーだからね。 今日みんなの話を聞くことができて本当に良かった。この次はうちのスタッフも含めて、日本のみんなと一緒に走りに行けるような機会を是非持ちたいと思うよ。とっても楽しみだ。本当にありがとう。
最後にはBuell WEST TOKYOの前で参加者全員で記念撮影。
エリックおじさんは終始にこにことサービスしてくれた。
帽子にもサインを貰った。
何か一言書き添えて!とおねだり。 「Best riding!」シンプルにして奥が深いエリックらしい一言を頂いた。
BMJ管理者のginさんの機転でmlオフミの記念ステッカーも手渡してもらえた。 URLとメールアドレスの入った名刺も手渡せたし、嬉しいことずくめの一日だった。
この場を借りてあの日あの場所にいた全ての人へ。ホントにありがとう!!
あ~楽しかった!!!
・写真協力:bigman







