S3純正パニアケース考察と不具合対策

| | コメント(1) 2008:08:16:10:56:49 | トラックバック(0)

catalog-96_01.jpgBuell S3純正のパニアケースについてのまとめと致命的不具合の対策について。

かつてこれほど詳しいBuell S3 Thunderboltのパニア(saddlebag)についての考察はなかったと断言できる!(笑)

先ずはThunderboltシリーズの日本での略歴を簡単にまとめてみましょう。

XBシリーズのUlyssesが登場するまで、Buellのいわゆるツーリングモデルとして位置づけられているのがThunderboltシリーズ。
S2 Thunderbolt、S2T Thunderbolt Touring、S3 Thunderbolt、S3T Thunderbolt Touring('99からはBuellの全モデルともThunderbolt S3のようにペットネームが前に来るように変更されています)の4機種が存在しました。

 

catalog-97_01.jpgS2(T)は94年後半から'95モデルとして登場(以下イヤーモデル呼称は同様)しますが、日本導入は'96モデルのS2Tから。S2は未導入です。

97年からはS3が日本に入ってきます。"Touring"ではないのでパニアケース(Buellではサドルバッグと呼びます)もロワーフェアリング(レッグシールド)も非常に高価なオプションでした。

'98モデルのS3も"Touring"ではなかったんだけど、98年2月にBuell本格上陸2周年記念としてS3とM2に大盤振る舞いがありました。
M2にはS1同様のカムが工賃込みで無料プレゼント、S3にはS3Tと同様の装備になるディープケースとロワーフェアリング、ツーリングハンドルバーが工賃込みでプレゼントされたのでした。

しかも、S3のツーリングキットは、'98モデルだけではなく、'97モデル購入者にも導入されるという徹底ぶり。これは幸か不幸か'97、'98合わせてもThunderboltオーナーが国内にごく少数しか存在しなかったが故に可能だったサービスなのでした(笑)。

s3t-decal_01.jpgあくまでもS3T用のパーツを持ってきているので、ディープケースには"S3T Thunderbolt Touring"とステッカーが着いています。

'99モデルからは日本にはS3+ディープケース+ロワーフェアリングが標準装備されて導入されます。
いわゆる日本仕様でS3Tとは異なるようです。

ここからが後期型のパニアケースになり、インナーバッグも立体成型のセミハードタイプに変更。このインナーバッグはディープ、ナローそれぞれ専用になり、前期型のようにジッパーでディープ、ナローと容量を可変させる機能はなくなりました。
後期型のケースカバーには"S3T Thunderbolt Touring"のステッカーはなくなっています。

'00モデルから'99ではオプションだったツーリングハンドルバーが標準装備に。以降、パニアに関しては変更なく'02モデルまで販売されました。

ちなみに、ロワーフェアリングの形状も、フレームとエキパイの取り回しが変わった~'98と'99~以降で変更されているのですが、実はフレームが同じ'97と'98でも形状が違います。
'98は'97に比べて大型化していて、'99は'98より角張っています。

前置きが長くなっちゃいました。
パニアの前期・後期の違いを見ていきましょう。

saddlebag-support-bracket_0.jpg先ずは車体への取り付け方法が違います。どちらもフレームにボルトオンで追加したサドルバッグステーに、ケースの裏に作られた溝と小さな爪を使って固定します。
車体側のステーが全年式共通なので、車体の年式にかかわらず、パニア自体は前期型でも後期型でも装着可能です。
ただし、ケースとケースカバーの組み合わせは前期後期間で互換性はないので要注意です。

paniacase-98_0a.jpg

左の写真は前期型です。この小さな爪がステーに対して90度回転して固定する仕組みです。

台座にストッパーがあって90度以上は回転しないようになっています。

paniacase-98_01.jpg前期型。ケース内のノブを回すとロック位置まで爪が回って爪は固定され、更にノブを回すことでステーへの締め付け具合を調節する仕組みです。

ケース本体の着脱は、後期型に比べてほんの少し時間がかかるかもしれませんが、車体への取り付けテンションの調整は工具無しで行える分重宝します。

ちなみにノブは六角ボルトに比較的柔らかめの樹脂でカバーしているだけなので、中央のキャップ(メッキ部分)がよく外れます(笑)。

paniacase-99_05.jpgこちらは後期型。爪の回り止めはなく、ケース内のレバーを倒してロックする仕組みで、爪とステーが90度の時でないとレバーが倒れない仕組みになっています。

paniacase-99_01.jpg後期型のケース内側。レバーを起こした状態で回転させてステーと爪の位置を180度<-->90度と操作してケースを着脱します。

その回転に節度や位置のロックはなく、適切な位置以外ではレバーが倒れないようになっています。レバーを倒す(ロックする)時に、結構抵抗があるので、余り丈夫そうではないレバーの質感も相まって壊してしまいそうな不安もあります。

そうはいっても着脱に関していうと後期型の方が便利かも。

paniacase-99_04.jpgただし、ケースとステーとの取り付けテンションの調整は後期の方が面倒です。前期がただノブを締め込めばいいのに対して、ケース裏側の爪の軸の長さを調節するために工具が必要です。
また、ケースの形状からスパナが入りにくいので作業も少々やりにくいです。
ロックナットをゆるめてアジャスターナットを調節することで爪とケースとの距離を調整できます。

次にケースを置く際の足になる部分と一体のケースカバーのヒンジが形状・材質共に違います。
前期はスティールの足に樹脂のヒンジが着き、 ケースとカバーの着脱はニードル状のヒンジ部分を前後にずらして行います。
対して後期用は足と一体型の樹脂製ヒンジになっています。このため、前述の通り、前期と後期のケース本体とケースカバーの間には互換性がありません。

※このページの左側ケースの写真は、後期型ケースに前期型カバーを加工して取り付けているので、ヒンジ部分の仕様が純正の後期型と異なります。

paniacase-99_08.jpgケースの使い勝手という点でも後期型では改良されています。ケースの開口部にカバーの位置を誘導しつつ防水機能にも一役買うであろうガイドが加わって、全体の質感が向上しています。

前期後期とも、パニアのカバーを閉めてロックするには多少のコツが要るんだけど、このガイドのおかげか後期の方が若干閉めやすいです。

paniacase-98_03.jpgこちらは前期。開口部のガイドがなくシンプルな構造なのがわかるでしょうか?

前期でも散々大雨の中を走りましたが、ケース内への浸水はしたことがありません。

さて、いよいよ前期と後期の機能上の決定的な違いについてまとめてみましょう!

それには前期型の最大にして致命的な欠陥から説明しなくてはなりません。

結論から言うと、パニアのカバーが開かなくなる!のです。
これは最悪です。雷電一世号で2度経験し、対策を施しましたが、未対策だった雷電二世号でもやっぱり同じトラブルに見舞われました。

雷電一世号でのトラブルについては当サイトの旧WEB版「Motorhythm」を参照して下さい。
GaregeNote>1998年3月31日「開かずのつづら」、1998年7月18日「開かずのつづら再発」に記録しています。

改めてこのトラブルの説明をしましょう。

paniacase-98_08.jpgBuell S3のパニアケースのロック部分は、ケース上部のキーシリンダー一体式のノブとケース本体のプレートで構成されています。

このプレートには2箇所あるカバーのロック金具をくわえ込み、押し込まれると鉤爪が回転してロックする仕組みのロック本体と、それらを一度に解錠するためのカムがあります。

このカムのL字型に折れ曲がった部分を、ノブから伸びているレバーが押すことでロックが解除されます。

カムとロック本体は細い金属棒で連結されていて、ご覧のようにかなり遊びが取ってあるのです。

paniacase-98_04.jpgでは、カバーが開かない状態とはどうなってるんでしょうか?

まず正常な状態。
カムの(1)をレバー(2)が黄色の矢印方向へ押すことで、ロックを解除。

paniacase-98_05.jpg次にトラブった状態。
(2)が(1)の内側に入ってしまって、レバーを操作してもスカスカになってしまい、解錠できなくなります。

この状態の手応えの情けなさと言ったら...。

こうなってしまう理由は、明確には断定できません。が、(1)の幅が際どいサイズのため、走行中の振動で、(2)がすり抜けてしまう為だというのが恐らく正解だと思います。
事実、後期型は後述する対策と合わせて、この面積の拡大も行っていますので。

さて。対策の話をしましょう。
'99以降の後期型ケースを使用している場合は、プレートごと対策品になっていますので基本的に問題ないでしょう。
前期型の場合は、当時このトラブルが横行したため、対策品として後期型同様のカムのセットと、タッピングビス、ラッチへのガイドプレートなどがサービスとして出ていました。
ですので、対策部品(後期型)への組み替えが最も確実な対策方法です。

paniacase-99_06.jpgその後期型のプレート回りがこちら。写真は当時'98への対策部品として供給された物です。
上の前期型の写真とは左右逆なのでわかりにくいかもしれないですが、カムの形状が大きく改良されています。

更に、カムの回りすぎによるトラブルを避けるために、回り止めのタッピングビスが追加されています。

使い勝手の面ではロックラッチへのガイドプレートが追加されています。

paniacase-98_07.jpgこれらを踏まえた上で、前期型への最も簡単な対策は、タッピングビスの追加と言うことになります。

オレも今回はタッピングビスで対策しました。その際にカムの遊びを抑え気味になる位置を検証してタッピングビスを打ったので、トラブルを回避できる可能性はかなり高まったと思います。

paniacase-98_06.jpgついでに、雷電一世号の形見?が残っていたので、ロックラッチへのガイドプレートも追加しておきました。1個しかなかったんだけど(笑)。

ここまで読んでくれた人にもう一つ耳寄り情報を(笑)。
オレも修羅場を救われたB'sTのびんちゃんオリジナル「開かずの対策グッズ」は、お薦めです。これがあれば万一開かなくなった時にさらりと救われますよ。

総走行距離:11895 km
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コメント(1)

この記事はちょっと値打ちモンでしょ?(笑)

数時間掛けて描いた甲斐があればいいんだけど。

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